神棚が古くなり新しい神棚に移行する依頼が多数あります。
その場合、神上げ式をして神卸し式をします。
代々受け継がれる神棚は合祀したりお返ししたりする場合があります。
その家はお商売も今はされていないのでお稲荷様をお返しすることになりました。
当神社はお稲荷様がお祀りされているので、お祀りできなくなったお稲荷様を引取り
神社でお祀りをします。
今回の場合もお引き取りとなりました。
神棚は古くからあり3世代以上の神棚です。3世代以上になるとどんな神様がお祀り
されているか分からない状態になります。
それは粗末にしていたりほったらかしにしている事とは違い、大切にして敬っているからこそ中身の神様は代々受け継がれている為
触らないでいようとなるのです。世代が変わりお社の中を開けるのも申し訳ないので、そのままお祀りされていきます。
そっとお稲荷様を棚から降ろすと、帽子の様な綿埃り。その家は神棚を大事にされているので、ほったらかしにした為にお狐様が汚れていたのではなく、
敬い触る事の方が罰が当たるのではないかと思い代々そのままにしていたのです。
埃にまみれ片手を上げているお稲荷様。
胸の奥がぐっとなり涙が出そうになりました。
ああこのお狐様は、この家の方の辛い時、嬉しい時、楽しい時、全てをみて
この場所から見守り家族を御守りしていたのだなと…
神社に戻り綺麗にお身ぬぐいをして、
ありがとう、ありがとうございますと優しく撫でる様に丁寧に丁寧に磨きました。自然と涙がこぼれてきました。
人と神様は対で、敬えば敬うほど神様は威を増します。
御成敗式目にそれはあります
『人は神の敬いによりてその威を増し、人は神の特によって運を添う』
これからもそんな方々のお手伝いができたらと思いました。